取り扱いによっては、演奏や音質またギターそのものの寿命に大きな影響を及ぼします。
特に単板のアコースティックギターは2片の薄い木材を素材としており、ボディ材の厚みは、2mm〜4mmという薄さで仕上げられていますので、その薄さと表面積の大きさにより、湿度の影響をとても受けやすいものとなっています。
アコースティックギターでみられる問題の多くは、湿度の影響で木材が膨張したり収縮したりすることが原因です。特に乾燥による症状がとても多いようです。また、合板で作られたアコースティック・ギターよりも、単板で作られたアコースティック・ギターの方が環境変化に対してより敏感ですが、その理由は、薄い材と薄い塗装で仕上げられているからです。
ギター全箇所の接着強度が弱くなり、最悪はブレージングが剥がれてきます。
また、ボディが膨らみ、ブリッジの前後が膨らんできます。最悪はブリッジが剥がれ落ちることもあります。更に指板も浮いて演奏できない状態になることがあります。トップ面の膨らみは、弦を外して、サウンドホールとブリッジの間に定規を置くことでチェックすることができます。通常のトップ面はフラットか僅かの膨らみがありますが、定規を当ててトップ面のサイドの隙間が0.8mmから1.0mm以上あればトップ面が膨らんだ可能性があります。
膨張したトップ面によってブリッジが押し上げられ、さらにバック面も膨らむことでネックを押し上げるため、弦高が高くなってきます。また、ナットとサドルの間に歪みを引き起こします。また弦高が高くなることでネックジョイント部にかかる力が大きくなります。
フレットが指板からはみ出てバリが引っ掛かるようになります。これは、指板の木材が収縮する一方で金属性のフレットは湿度によって収縮しないからです。また、トップ板とバックが沈み込み、それによって弦高が低くなりビリつきます。最悪は、トップ板がブリッジ付近から割れ始め、ブリッジは剥がれてしまう可能性があります。さらに、指板エンドもボディに沈み込む現象も発生するため、弦高はさらに低くなります。ロゼット・リングとテール・ウェッジが浮き上がる場合もあります。